有名作家も実は遅いデビューだった・・・遅咲きだった小説家たち

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児童書の本を出版している岩崎書店。
その岩崎書店が開催している「福島正実記念SF童話賞」が今年も発表されました。

今年の2018年は、第34回だそうです。
大賞を受賞した「おれからもうひとりのぼくへ」の相川郁恵さんは、64歳。
64歳で、児童文学の作家デビューをされました。

64歳の年齢で新人って、ずいぶん遅咲きのデビューですよね。

でも、高齢で文学賞を受賞する作家やデビューされる作家さんは結構いらっしゃいます。
小説というものは、文才だけでなくその人の人生経験なんかも加味されるところもあると思うので、人生の紆余曲折を経て、やっと認められるということも往々にしてあるのだと思います。

ということで、遅咲きの作家さんを調べてみました。

▼40代

阿刀田高(あとうだ・たかし)

冷蔵庫より愛をこめて (講談社文庫 あ 4-1)

  • 1935年生まれ。
  • 作家デビュー
    1964年(29歳)に池田書店の依頼で「ころし文句」を上梓。
  • 受賞
    1978年(43歳)で「冷蔵庫より愛をこめて」で直木賞候補になり、翌年には「来訪者」で第32回日本推理作家協会賞を受賞。
  • 前職は?
    新聞記者になりたい夢が病気で破れ、国会図書館に司書として勤務していました。勤務の傍ら小説を書いていたそうです。
    2012年の時点でも、図書館館長として勤務されています。

 

藤沢周平(ふじさわ・しゅうへい)

藤沢周平全集〈第1巻〉

  • 1927年生まれ。
  • 作家デビュー
    1971年(44歳)で「溟い海」で第38回オール讀物新人賞を受賞し作家デビューとなりました。
  • デビュー前は?
    教員→記者と職を変たり、奥さんを早くに亡くし親の看病と子供の育児を行ったりという慌ただしい日々を経て、やっと小説執筆に費やす時間が持てて念願の作家デビューとなったようです。

松本清張(まつもと・せいちょう)

あの松本清張さんも、遅咲き作家の一人です。

或る「小倉日記」伝 (新潮文庫―傑作短編集)

  • 1909年生まれ。
  • 作家デビュー
    1951年(42歳)に書いた「西郷札」が処女作。
    この頃は作家志望ではなく、生活のために書いたのだそうです。
    この作品は、第25回の直木賞候補になりました。
  • 受賞
    1953年(44歳)で「或る「小倉日記」伝」で芥川賞を受賞。
  • 作家の前は?
    印刷所努めやアルバイト、図案の作成など、生活費を稼ぐためにいろいろな仕事をしていたそうです。

▼50代

海野碧(うみの・あお)

水上のパッサカリア (光文社文庫)

  • 1950年生まれ。
  • デビューは?
    2006年(56歳)で、海野夕凪名義で応募した「水上のパッサカリア」で第10回日本ミステリー文学大賞新人賞を受賞。
  • デビュー前は?
    10代の頃から短歌を発表し、別名義では1971年に第14回女流新人賞を受賞しています。なので、純粋な遅咲きとはいえないかもしれません。

沼田まほかる(ぬまた・まほかる)

九月が永遠に続けば (新潮文庫)

  • 1948年生まれ。
  • 作家デビューは?
    2005年(57歳)に「9月が永遠に続けば」で、第5回ホラーサスペンス大賞を受賞。
  • 作家の前は?
    「大阪文学学校」で文学を学び、校内の賞も受賞しましたが、早くに結婚し、主婦になりました。
    離婚後は僧侶になったり、建設コンサルタント会社を創設したりと、さまざまな人生経験を積まれたようです。

▼60代以上

隆慶一郎(りゅう・けいいちろう)

吉原御免状 (新潮文庫)

  • 1923年生まれ。
  • デビューは?
    1984年(61歳)に、週刊新潮で「吉原御免状」の連載をスタートさせました。
    直木賞候補になり、惜しくも受賞は逃しましたが、下馬評が良かったことで話題になりました。
  • 前職は?
    もともとは脚本家として活躍されていて、鬼平犯科帳の脚本を手がけていたそうです。
    作家活動は、晩年の5年間。ずっとものを書く仕事に従事して、最後に自分の作品を残したのですね。

森敦(もり・あつし)

月山

  • 1912年の明治生まれ。
  • デビュー作は?
    19歳のころに菊池寛に見出され、横光利一に師事、1934年の22歳で東京日日新聞に「酩酊舟〔よいどれぶね〕」連載をしていました。
    これがデビューと言えると思いますが、その後、結婚し別の職に就いています。
  • 受賞作は?
    1974年(62歳)に「月山」で芥川賞を受賞しました。当時、62歳での受賞は史上最高齢でした、この記録は2013年まで続きます。
  • デビュー〜受賞までの期間は?
    結婚後、妻の故郷山形県を転々としたあとに東京に戻り、印刷会社に就職します。
    仕事の傍ら、同人誌に短編を発表していました。

若竹千佐子(わかたけ・ちさこ)

おらおらでひとりいぐも 第158回芥川賞受賞

  • 1954年生まれ。
  • デビューは?
    2017年(63歳)に「おらおらでひとりいぐも」で第54回文藝賞を受賞。
    その後、同作品で芥川賞を受賞しました。
  • デビュー前は?
    大学卒業後に臨時教員を務めたあと、専業主婦になります。
    受賞前までは、普通の専業主婦を続けていました。
  • きっかけは?
    55歳の時に旦那様に先立たれ落胆しているところ、息子からの勧めもあり、カルチャーセンターの小説講座に通い始め、小説を書くようになります。
    もともと書くことが好きなこともあり、息子さんから勧められたようです。

池宮彰一郎(いけみや・しょういちろう)

四十七人の刺客

  • 1923年生まれ。
  • デビューは?
    1979年(56歳)に、別名義「池上金男」で小説「限りなき一つの道」を発表しました。
  • 受賞は?
    1992年(69歳)に、「四十七人の刺客」で新田次郎文学賞を受賞しました。
  • デビュー前は?
    池宮さんは脚本家として活躍されており、「十三人の刺客」「嵐を呼ぶ男」などの脚本を手がけられていました。

黒田夏子(くろだなつこ)

abさんご・感受体のおどり (文春文庫)

  • 1937年生まれ。
  • デビュー
    2012年(75歳)に「abさんご」で早稲田文学新人賞を受賞。
    その後、同作品で第148回芥川賞を受賞。芥川賞史上、最高齢の受賞になりました。
  • 前職は?
    大学を卒業後、国語教師を務めたあと、事務員、フリーの校正者などのアルバイトをして働いていたそうです。
    小説家になると決め、結婚なども考えず、生活費が稼げるくらいの最小限の仕事をし、残りの時間は小説執筆に費やしていたそうです。

まとめ

高齢で新人デビューし活躍ができるお仕事はとても限られていると思うのですが、小説家はその一つだと思いました。

もともと書く仕事をしていた人が小説家に転身するパターンもありますが、若竹千佐子さんのように、あるきっかけから文才が花開くこともあるんですね。

書き続けているけど、なかなか芽が出ずに挫けそうに鳴っている人もいると思います。

でも、チャンスは何歳になってもあると思いました!

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